
雨あがり、空。
「雨上がり、空。」
雨のにおい。
雨のにおいって、いくつもあるのを知っている?
雨は、水蒸気が高いところで集まって水滴になって、それが降って雨になる。
ホコリやいろんな不純物が混ざり合ったとしても、それからにおいを発しない。
例えしたとしても、人間の嗅覚では嗅ぎ分けることも嗅ぎ取ることも出来ない。
だから雨自体に、においがあるわけじゃない。
じゃあ、ボクの言うにおいってなんだろ? と疑問が生まれる。
ボクが常々考えて思っていること、こうであるだろうというそれについての理由としては、簡単なことで複雑な答えなんだ。
雨の降った後の世界には、においが存在する。
雰囲気、空気の変化の新鮮さ。水たまりや虹。雨に濡れたアスファルト。
雨が上がった時のあの澄みきった軽い空気の世界。息を吸うと微かにカビ臭いにおい。濡れた路面を走り去る車の微かな水飛沫。
太陽の光の反射。
常に排気ガスや騒音で騒がしかった車の行き交う車道が風変わりをする。
他意、ボクのように不思議なにおいを嗅ぎ取れる人は他にもいるんじゃないかな。
ふと、今日は新たな発見を求め車の運転をした。
澄みきった青空で、雲影さえない。雨が降る気配さえないその時、フロントガラスが濡れた。不思議なものを見ていた。
これを俗に「狐の嫁入り」なんだなと思った。
晴れているのに雨が降る天候の変わり目、知っているだろうか。
そこから、また別のなにかを嗅ぐことができた。
雨上がりと違った世界が空から降ってくる。
ボクは新たな発見を諦め、狐に化かされる前に帰宅をすることにした。
複雑で不思議な言葉だからこそ、こんな不完全な答えしか表現できないボクがいる。事実、ほとんどが感覚的に感じるもので、人それぞれ違う感受性が
ある。
これだって言う確信は持てない。だからこそこんな答えでもいいものだと思うのだが、ダメかな。
雨上がり、見上げると空がある。
汚れた世界のにおいを漂わせながら、雨はそんな汚れを取り除く。
ボクはそんな世界が好きなんだ。

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